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子孫を残そうとする椎茸

間引かれた椎茸の山
間引かれた椎茸の山

 2月中旬、ハウス内では瑞々しいミツバの収穫がひと段落して、スタッフは苗床の片付けに忙しく動いていた。一方、別のハウスでは通年で椎茸の栽培が行われており、特に需要が増える冬場は、こちらも右に左に忙しく人が動いている。


 椎茸の栽培はおおまかに説明すると3つの工程に分かれている。まず椎茸の生える菌床を作る作業。矢沢さんちでは国産のおが粉にこだわり、使用している(他所では中国産なども多く使われている)。あまり一般には知られていないが、パッケージに描かれたどんぐりのマークは、国産のおが粉が使用されているという印である。袋に詰められたおがが粉に菌を植えつける。出来上がった菌床は大きめの食パンぐらいの大きさになる。これを1日で約9,000個作る。

袋詰めされた椎茸の菌床


 次にこの菌床を、温度管理されたハウスに運んで菌を繁殖させるのだが、温度調整はシビアな作業で、暑すぎても寒すぎても、菌は思うように育たない。その日の気温やハウス内の湿度を考慮し、菌床の状態を見てこまめに調節しなければならない。長年の経験と勘、そして椎茸への愛情が必要な作業である。


 菌が順調に育った後は、育った椎茸を刈り取るだけ…という訳にはいかない。スーパーに並ぶ一定の基準を満たした大きさの椎茸(しかも大きさがある程度程度揃っているもの)を作るためには、成長の様子を随時チェックして周り、余分な椎茸を間引かなければならない。印象的だったのは、この間引かれた大小様々な椎茸が集められた山である。菌床から刈り取られて余命を悟った椎茸は、子孫を残そうとして、湯気が立ち込めるほど、熱を発するそうだ。

カテゴリー: 農業